古代ローマの食事に関するQ&A

「古代ローマ人はどのようにして魚醤を作っていたの?」という疑問にわかりやすく回答。魚と塩を発酵させて作るガルムの製法やその利用法を通じて、古代ローマの食文化を理解する助けになれば幸いです。

古代ローマ人は魚醤を好んでたらしいけど、どうやって作ってたの?

スルピキア先生、古代ローマ人は魚醤が大好きだったと聞きました。彼らはどのようにして魚醤を作っていたのでしょうか?その作り方について教えてください!

古代ローマ人はガルムと呼ばれる魚醤を非常に好んで使用していました。ガルムは、魚と塩を発酵させて作られる調味料で、料理に深い旨味を加えるために使われました。その製造方法は、シンプルながらも時間がかかるプロセスでした。

 

まず、新鮮な魚を用意し、それを細かく切り刻みました。使用される魚の種類はさまざまで、イワシやアジ、アンチョビなどが一般的でした。次に、この魚の切り身に大量の塩を加えます。この時、魚と塩の割合は約1:1でした。

 

魚と塩を混ぜた後、この混合物を大きな壺や木製の桶に入れました。その上からさらに塩を振りかけ、しっかりと封をして発酵させます。この発酵は、太陽の下で行われることが多く、数週間から数か月かけてゆっくりと進みました。発酵が進むと、魚と塩が分解され、濃厚な液体が生成されます。この液体がガルムです。

 

ガルムは上澄み液として慎重にすくい取られ、ろ過されました。こうして得られた透明な液体は、非常に高品質なガルムとされ、貴重な調味料として珍重されました。ガルムは様々な料理に使用され、スープやソース、肉料理、魚料理など、あらゆる料理に使われました。また、食卓でも直接料理にかけて使われることがありました。

 

このガルムの製法は、特に地中海沿岸地域で盛んに行われ、ローマ帝国内で広く流通しました。ガルムの生産地として有名なのは、スペインのカディス地方や北アフリカの都市などです。これらの地域では、専門の工場が設立され、大量のガルムが生産されました。

 

このように、古代ローマのガルムは、料理に深い味わいをもたらす重要な調味料として欠かせない存在でした。不思議ですよね、現代でも醤油やナンプラーのような魚醤が広く使われていることを考えると、古代の人々の知恵が現代にも生きているのを感じます(時代を超えて愛される味ってすごいですよね^^)。

 

参考文献:
Garum - Wikipedia

スルピキア

 

紀元前1世紀に活動した、数少ない古代ローマ女性詩人の一人。恋愛詩が特徴で、愛人に捧げた詩が『ティブルス詩集』に収録されている。当サイトに転生し、古代ローマの文化、歴史、社会に関する様々な疑問に回答してくれる。